補助事業の内容
本事業はビューティ産業の生産性向上に貢献できる経営人材育成の高度化プログラム開発を目的としたものである。
この目的のために本学を中心として、ビューティに関わる企業、団体、行政が広く連携したコンソーシアムを組織し、ビューティ産業の生産性向上・高付加価値化に繋がるカリキュラム、教材、学習方法を組み合わせた履修証明プログラムの開発に取り組んだ。
今年度は特に、付加価値に重きを置いた「バリューマネジメント」科目の新設を行い。カリキュラムとしての全体を完成させる。
実施委員会の開催
事業の遂行を効率的・生産的に推進することを目的として、実施委員会を2回開催した。
- 第1回実施委員会(平成31年2月22日 13;30~15:00) 18名参加
- 第2回実施委員会(平成30年2月27日 15:00~16:30) 15名参加
学習環境の整備・構築
- 昨年度の授業コンテンツを引き継ぐ形でオンライン学習環境を整備した。
- 新しく受講者用アカウントを登録した。
履修証明プログラムの開発
- カリキュラムの開発をした。
- 「経営戦略」「スキルマネジメント」「コストマネジメント」「タイムマネジメント」「プライスマネジメント」の各科目について、昨年度開発したシラバスを見直し、一部、修正した。
- 新しく設けた「バリューマネジメント」科目についてシラバスを作成した。
講座開発
- 実証講座のための講座を開発した。
- 科目ごと・コマごとにプレゼン資料(教材)、授業映像等の講座要素を開発した。
- 講座要素をオンライン学習システム(Moodle)へ組み込んだ。
実証講座
- 実証講座の実施に向けたホームページを作成した。
- 実証講座の企画を進め、いくつかの具体的な実施案を作成した。
ホームページの作成
- 本事業専用ホームページを制作した。
重点的に実施した事項
実施委員会の開催
第1回 実施委員会
「バリューマネジメント」科目のシラバスの体系、科目の内容について具体的な検討を行い、事務局で作成した案について、承認を得た。
日時
平成31年2月22日(金) 11:30~13:00
次第
- 実施委員会委員長挨拶 山中 祥弘 委員長
- 自己紹介 各実施委員
- 事業計画全体の説明 事務局
- カリキュラム・シラバスの説明 事務局
- 実証講座の説明 事務局
- 意見交換
第2回実施委員会
カリキュラム・シラバスの最終案を提示し、承認を得た。
また、実証講座に関する企画を提示し、承認を得た。特に、実証講座についてはオンライン学習システムに配した実際の授業コンテンツを視聴し、それがビューティ産業の生産性向上という本事業の目的に叶う内容であり、各所で活用を図り、履修証明プログラムの開発・実施につながるものであるとの結論になった。
また、オンライン学習で提供することによって、学習者にとっても効率・生産性を高めるものであるとの見方で一致した。
日時
平成31年3月12日(火) 15:30~17:00
次第
- 実施委員会委員長挨拶 山中 祥弘 委員長
- 実証講座の内容について 事務局
- 実証講座の実施方法について 事務局
- 次年度以降についての意見交換
学習環境の整備・構築
オンライン学習システム(Moodle)の環境整備・構築を行った。
この中で、昨年度開発した9コマの授業コンテンツも初期状態の中に取り込んだ。
また、実証講座用のアカウントを用意し、実証講座の学習要素(シラバス、教材、授業映像等)を組み込むことによって、いつでも受講可能な状態を整備した。
履修証明プログラムの開発
履修証明プログラムは、主として社会人を対象として、大学等による一定の教育計画の下に編成された、体系的な知識・技術等の習得を目指す教育プログラムである。
学習総時間数60時間以上で各大学等において設定可能で、プログラムの修了者には、各大学等により、学校教育法の規定に基づくプログラムであることおよびその名称等を示した履修証明書を交付できる。
本事業は以上の要件を満たし、履修証明プログラムとしての認定も可能な水準をもつ教育プログラムの開発を目指して以下のカリキュラム、科目ごとのシラバス及びコマシラバスを開発した。
カリキュラムの開発
次に示す6科目(A~F)から成るカリキュラムを開発した。
科目ごとのシラバス作成
各科目のシラバスの骨格部分は次のとおりである。
経営戦略
サービス産業の生産性とその向上策に関する概念形成を図り、その上でビューティビジネスの経営戦略立案に必要な知識を身につける。
スキルマネジメント
生産性向上の要素の一つとして「人材」を認識し、要員のスキル向上によって生産性向上を図る方策の立案に必要な知識を身につける。
コストマネジメント
生産性向上の要素の一つとして「資金」を認識し、経営分析、採算分析、店販マネジメントなどの観点から生産性向上を図る方策の立案に必要な知識を身につける。
タイムマネジメント
生産性向上の要素の一つとして「時間」を認識し、比較的短時間でものごとを進める、すなわち、効率性を高める方策の立案に必要な知識を身につける。
プライスマネジメント
生産性向上の要素の一つとして「付加価値」を認識し、高単価・高付加価値化を図るための方策の立案に必要な知識を身につける。
バリューマネジメント
生産性向上を要素ごとにとらえるというより、高付加価値市場の獲得や画期的な技術の導入など、革新的に価値を高めるための考え方や方法について学ぶ。
科目のコマごとのコマシラバス作成
次は、「タイムマネジメント」科目の授業の第1回授業のコマシラバスである。
この例のように、1つの授業ごとに、「予習事項」、「学習本体」、「復習事項」を明示すると共に、「知っておきたいキーフレーズ」、「つかんでほしいポイント」、「発展のヒント」を示すことにより、学習の道筋をわかりやすいものにすることを狙った。
講座開発
実証講座のための講座開発
実証講座を行うために、本年度は10コマ分の授業コンテンツ(教材および授業映像)を開発した。以下は、そのラインアップである(No.11以降は昨年度開発分)。
※なお、上表に示した「時間」は映像や音声の正味時間である。受講者から見ると、コマシラバスの記述に従った予習、復習、発展学習を含めた時間が「学習時間」である。それは、おおよそ、映像の正味時間の3倍見当でコマシラバス等を作成しているので、上記実証講座の学習時間は、受講者から見て全体で約30時間弱になる。履修証明プログラムの要件を満たすには、上表とほぼ同規模のコマを加えることが必要であると認識している。
講座要素の開発
各授業について、教材、授業映像を作成した。
講座要素のオンライン学習システム(Moodle)への組込み
講座の流れに従って、教材をダウンロードして授業の準備を行い、授業映像を見てアンケートに回答する(質問なども可能)プロセスを繰り返す形で、開発した要素をオンライン学習システムに組み込んだ。合わせて、全体のアンケートを組み込んだ。
実証講座の実施
実証講座の企画
実証講座は平成31年度においていくつかのものを実施する予定である。
以下にその案を示す。
案1 大学院生向け
- 4月、10月のオリエンテーションにおけるモチベーションアップを目的とした受講
- 学期開始後も在宅等で閲覧→演習
案2 FD・SDの一環
- 美容専門学校の教職員研修の機会での使用
案3 美容サロン等企業における社員研修での活用
- 美容サロンに声がけして受講者を募集する(公開可能映像のみ)
ホームページの作成
本事業専用ホームページの制作
事業の内容を紹介し、各方面からの意見聴取を目的として、highvalue.tokyoドメインの上に事業専用ホームページを立ち上げた。次の図はトップページのキャプチャである。
本ページは、事業内容、実証講座の受講案内、事業実績等に関するページから構成されている。
補助事業の効果
本事業の実施により、ビューティ産業の生産性向上に貢献できる経営人材育成の高度化プログラム開発という目的に叶うオンライン学習環境とプログラム開発の骨格が完成した。
カリキュラム・シラバスとして、履修証明プログラムと同等のものを開発することができた。
また、実証講座として、今年度重点的に取り組んだ「バリューマネジメント」科目について、生産性向上の第一線で活躍する講師による授業を行い、ビューティ産業の生産性向上に貢献する学習プログラムとしての完成形に近いものをの開発できた。
講座開発
科目 | 区分 | タイトル | 講師 |
---|---|---|---|
バリューマネジメント | 高付加価値市場の獲得 | 高齢化社会とビューティビジネス | 山中 祥弘 学長 |
バリューマネジメント | 価値のプレゼンテーション | いい表情でAIに勝とう -人間の表情の強み | 佐藤 綾子 教授 |
バリューマネジメント | 革新的技術・サービスによる価値創出 | 美容サロンにおける革新的技術導入事例 | つだまどか 講師 |
バリューマネジメント | 革新的技術・サービスによる価値創出 | 美容業の付加価値経営~新業態開発事例研究~ QBハウス | 北野 泰男 講師 |
経営戦略 | サービス産業の生産性と向上策 | 「生産性」の理解 | 江島 夏実 研究員 |
経営戦略 | サービス産業の生産性と向上策 | 「サービス産業」の理解 | 江島 夏実 研究員 |
経営戦略 | サービス産業の生産性と向上策 | サービス産業の生産性とその向上アプローチ | 江島 夏実 研究員 |
スキルマネジメント | 美容サロンのスキルマネジメント | これからの美容サロンにおける採用戦略 | つだまどか 講師 |
スキルマネジメント | 美容サロンのスキルマネジメント | これからの美容サロンにおける人材配置・育成 | つだまどか 講師 |
スキルマネジメント | 美容サロンのスキルマネジメント | これからの美容サロンにおける評価・報酬制度 | つだまどか 講師 |
コストマネジメント | 店販マネジメント | 美容サロンにおける店販の重要性と基本方針 | つだまどか 講師 |
コストマネジメント | 店販マネジメント | 美容サロンにおける店販売上戦略のセオリー | つだまどか 講師 |
コストマネジメント | 店販マネジメント | 店販に対する意識改革の実践 | つだまどか 講師 |
タイムマネジメント | ITマネジメント | ITの要素 | 江島 夏実 研究員 |
タイムマネジメント | ITマネジメント | 高付加価値のためのIT活用の考え方 | 江島 夏実 研究員 |
タイムマネジメント | ITマネジメント | 低コスト化のためのIT活用の考え方 | 江島 夏実 研究員 |
プライスマネジメント | ホスピタリティ | ホスピタリティの源と定義 | 横澤 利昌 教授 |
プライスマネジメント | ホスピタリティ | 「サービス」と「ホスピタリティ」 | 横澤 利昌 教授 |
プライスマネジメント | ホスピタリティ | ホスピタリティ経営と顧客価値 | 横澤 利昌 教授 |
※背景が黄色部を平成30年度で制作。